『牛首紬』不思議な名前です
石川県の南端、霊峰白山の西麓に位置した白峰の旧地名『牛首村』から
そう呼ばれるようになりました。
800年以上昔から伝承された独特な紬は
空気を多く含んだ糸で織られているため柔らかな着心地でありながら、
釘抜き紬の別名が残るほど強い織物でもあります。
一つの繭に2頭の蚕さんが入った特殊な繭、「玉繭」から座繰りで手挽した
玉糸のみを緯糸に使用し、高機で織られた紬は大変貴重で無形文化財に
指定されています。
今では二つの工場のみで作られており、今回ご紹介するのは
伝統を変えないこと、に尽くしている加藤機業場の牛首紬 染九寸帯です。
後染めの唐草更紗。
辛子色がベースとなり、グレー、紫、紺など同系色で品よくまとまった中に
ターコイズブルーがアクセント。
牛首紬のさらなる特徴は玉繭の小節が浮き立つ表面の美しさ、
紬織物と絹織物の両面を秘めた織味と光沢にあります。
前回ご紹介した廣瀬雄一作 寄せ小紋とはお互いに負けず、
お互いを引き立てあうコーディネートとなりました。
また、無地のタッサー紬とコーディネートすれば、
控えめな中にも光る牛首紬の良さが現れています。
年末年始の行事などになくてはならない染九寸帯となりそうです。